2019年12月18日。
伊藤詩織さんの民事裁判について気になり、東京地方裁判所と判決報告集会に行きました。
行った理由は日本の裁判所がどのような判決を下すのか、直接見たかったからです。
準強姦容疑で取った山口敬之(やまぐちのりゆき)の逮捕状は、逮捕直前に取り下げられました。
山口敬之は安倍晋三首相の伝記を書いた人物で、一緒にゴルフをするほどの親しい間柄です。
「忖度」があふれている世の中で裁判が正しく行われるのか、自分の目で見ようと思いました。
暴行したことがはっきりしたので、山口敬之に「敬称」は付けません。
東京地方裁判所で傍聴券の抽選に参加する
10時くらいに着き、傍聴券の抽選を裁判所の敷地内で並んで待ちました。
傍聴席34席に対して、198人が膨張を希望して列に並びました。
一般人も報道関係者も関係なく、抽選に当たった人だけが傍聴できます。
残念ながら、抽選に外れてしまいました。
伊藤詩織さんはどんな人?
伊藤詩織さんはTBSで働くのが決まっていました。
ビザの手続きなど相談することもあり、食事に行ったのです。
その後タクシーに乗せられて、山口の泊まるホテルでレイプされました。
判決報告集会での伊藤さんの話
判決が出た日の夜7時半から、大久保で判決報告集会が開かれました。
伊藤さんの話を聞きに、報道関係者や一般の人が会場の教会に集まります。
弁護士から山口が命じられた賠償金額は、330万円だと聞きました。
集会の中で、村田聡子弁護士から「330万円は多くはないが、少なくはない」と。
これが今の日本の現実です。
また「伊藤さんの方が山口より信頼できる」と判断したことが、勝訴の理由だろうと話していました。
「伊藤さんが嘘をつく合理的な理由がない」 と、鈴木昭洋裁判長が発言したそうです。
真実を明らかにするための裁判
伊藤さんが性交渉に同意していないことが、今回の民事裁判で証明されました。
拒否していたにも関わらず、山口は伊藤さんを自分のホテルに連れ込んだのです。
タクシー運転手やホテルの従業員の証言、ビデオによって犯行がはっきりしました。
伊藤さんが民事裁判を起こしたのは、公になっていない真実を明らかにするためです。
逮捕状が出たのに取り消されることは、通常ありえないのだとか。
性犯罪をなくすために
「日本で性犯罪をなくすためには、どうしたらいいか」伊藤さんの意見を伺いました。
「私たちにはやらなければいけない宿題が多すぎると思います。教育、法律、捜査など。
問題の一つは、日本ではどの省がどういうアクションを取るべきかが明確ではないことです。
しかしその前に、私たち一人ひとりの意識を変えていかなくてはいけないと思っています。
話しづらかったり、なかなか見えなかったり。
これまでは報道されないこともあったが、今変わり始めていると思います。
不同意性交について法律に盛り込むのであれば、学校でも性的合意、非合意について教えられるべきです。
きちんと議論することが大事だと思います」
「 あなたは一人じゃない」
実は12月の前に、伊藤さんの集会に行ったことがあります。
伊藤さんの裁判報告会で、10月7日に参議院会館で行われました。
心ない発言をオンラインで見ていて、応援したくなったからです。
「伊藤さんに直接会いに行けなくても、応援している人がたくさんいます。
伊藤さんを始め、性被害者を応援している気持ちをどうやって届けたらいいでしょうか」
伊藤さんは「ポジティブな声を上げて欲しい。
あなたは一人じゃないと、どんどん発信していただきたいです」と答えてくれました。
伊藤さんに会ったときの印象
テレビを通して見るよりも華奢で、優しい雰囲気の方でした。
裁判にはお父様がいらしたそうで、お父様の気持ちを心配して涙ぐむ場面もありました。
質問に対して一生懸命に答えてくださったことが、印象に残っています。
「レイプは魂の殺人」であることが、もっと理解される社会になって欲しいと思いました。
セカンドレイプを減らしていこう
「日本で感じるのは、セカンドレイプの声が大きいということです。
ネガティブなメッセージを減らしていきたいし、 もっとポジティブな声で埋めていかないといけない。
社会の温度が少しでも温かくなれば発言しやすくなるし、助けてと言いやすくなると思います。
オンラインで攻撃されて悩んでいた時期もあったけれど、道端で会う人からはポジティブなメッセージしかもらわなかった。
オフラインってこんなに素敵なんだなと思いました」と伊藤さん。
性犯罪を許さない
性被害者に対して「もっと抵抗できたのではないか」という意見があります。
「女性の服装が挑発的だったのではないか」と批判する人もいます。
強盗犯や殺人犯への抵抗の有無で、犯人の罪の重さが変わるのでしょうか。
性被害者は、服装に関わらず被害に遭ってます。
また魅力的であることは、いけないことなのでしょうか。
同意がない性行為は、すべてレイプです。
性暴力は心身ともに被害者を傷付ける「魂の殺人」です。
男女関係なく協力して、一緒に日本社会を性暴力のない国にしていきたいと思います。
伊藤さんと話して、一歩ずつ変えていこうと元気が出ました。
困っている人を助けられるように
昔の職場に、ランチに行こうと誘ってきた大先輩の講師がいました。
「 疲れた顔をしているからホテルへ行って休もう。大丈夫、何もしない」
彼はホテルの入り口まで、私を連れて行きました。
慌てて「受講生に誤解されたら申し訳ないから」と説得して帰りました。
本当に困ってしまうと、冷静なときと違って最適な行動は思いつきません。
帰宅後すぐに上司に報告しましたが、彼に対しての処分はありませんでした。
職場の先輩や同僚が信用できなくなると、1人で悩みを抱えることになります。
「被害者から相談されたときの悩みを軽く流さないようにする」
周りの人たちの優しいサポートが次の被害者をつくらないポイントだと思います。
自分や自分の大切な人たちを性被害から守っていくために声を上げよう。
伊藤さんの告発は、多くの性犯罪被害者に勇気を与える第一歩になりました。
私たちもお互いが支えあって、性犯罪を減らしていきましょう!
明らかにならなかったこと
山口敬之の成田空港で待っていた警察が何故、逮捕をやめたのかは、明らかになっていません。
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